親戚の結婚式で大阪に1泊で出かけた。
3連休の真ん中で、とれた宿は尼崎にある都ホテル。披露宴は昼間。その日の夜と次の日をどう過ごすか。これを考えるのがなかなか楽しみなのである。
夕食はダメもとで芦屋在住の友人に声をかけてみると、ラッキーなことに快諾のご返事。9月に知り合ったばかりの最高にナイスな女性。初対面の時から妙に気が合って、メールのやり取りも楽しく盛り上がっていたのだけど、やはりゆっくり話してみたいなと思っていたのがこんなに早く実現するとは驚きだ。
芦屋では地元の無国籍料理の店に居座ること5時間!芦屋といえども飲むとみんなうるさいですなぁ。めげずにしやべり続けていると外からお囃子の音が…このあたりの神社の秋祭りだそうで、山車がそろそろと引かれていく。芦屋というと高級住宅地、外車、というイメージができてしまっていて、まさかここで祭囃子を聞こうとは思いもよらなかった。友達の「芦屋は村だから」との言に納得、芦屋いいところだな。
翌日は尼崎観光。ふだん大阪に来ると、たいてい奈良か京都に出かけてしまうのだが、尼崎宿泊もなにかのお計らい、町の探索に出発。
ネットや、地元の本屋情報によると、ここはなかなか歴史と文化豊かな場所だとわかる。そして、なんと、あの「GUTAI」の白髪一雄さんの故郷であったのだ。立派な総合文化センターがあって、そこに白髪一雄記念室があり素晴らしい作品が展示されていた。白髪さんというと、天井から下げたロープにつかまって、床に置いた巨大な紙の上に絵具を大量に放出し、ターザン的な運動を利用して足で絵を描くことで有名だ。それで無学な私は何となく白髪さんを前衛的な風貌の変わった人だと勝手に思い込んでいた。しかし実際の白髪さんは尼崎を終生愛して、地域文化に貢献し、また真言宗の厳しい修行をされた方なのだった。
これだから無知・無学って怖いんだな。言い訳をするならば、今まで知らなかった!ってことで、この年齢になっても新鮮な驚きと感動を得ることになってもいるのだが…。
その後は尼崎七福神巡り!商店街で専用のスタンプラリー色紙を買って散策開始。当然他にはだれもやっていない!だがしかし、これがなかなか立派なもの、本堂や塔が国の重要文化財になっている長遠寺、尼のえべっさんなど…ちゃんと江戸時代のままに寺町として残っているのである。
静かな寺町を歩きながらさすが大阪!4つ目のお寺を出た目の前にたこ焼き屋発見。それも玄関先をちょっと改造したみたいな店構えで、おばはんと親父さんがたこ焼きを、店先では近所のおばちゃんがしゃべり続けてる。しかも7個100円という安さ。店(というか家の中みたいな)の中で食べていると、5歳くらいの女の子がいて、かまってほしそうに体をくねくねさせながら店の邪魔をしている。その会話がまたおかしくて、九九ができる!といっては「二九うまい」なんて言っている。親父さんも負けずに「八八くえ」とか。さすが関西人には笑いのDNAがあるらしい。七福神満願のあとは地元グルメ準グランプリのラーメン屋へ。一番おすすめというチャーハン・ラーメンセットを完食し、尼崎に来たらまた寄るよ!と店のおばちゃんに約束して阪神尼崎駅へ。
そこから昨日は夜を過ごしただけの芦屋へ舞い戻る。山側から芦屋川を下って海の方に出て、谷崎潤一郎記念館などを回る文化散歩コース。山側は時間がなく次回に譲って後半にトライ。尼崎から急行なら10分ほどで、雰囲気がまるで違う。人も店も少ないし、区画も整理されてゆったりした趣きだ。谷崎記念館はこじんまりしているが庭がよく整備されて、心地よい空間だった。
それにしても、1日でこれだけの文化の違いを実感できる関西、地元密着のディープな旅にちょっとはまりそうだ。
2017.10.14